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北・ナンバー2が宣言した「金正恩体制」

金正男という最後のカード シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥

「党大会」の開催から分かること

 その自信の表れが、共産主義政権にとって最も重要な行事とされている党大
会を開催したことです。張成沢の粛清によって党大会の開催が容易ならしめた
とも言われています。

 2016年5月、実に36年ぶりに開催された党大会は、金日成体制から過渡期にあったとされる金正日政権時代には、一度も開かれることはありませんでした。

金正日の公式肖像画

金日成の公式肖像画

 これによって金正恩は、新たに設けられた〝党委員長〟というポストに就任
し、内外に新体制確立を宣言しました。

 2017(平成29)年4月15日。北朝鮮の最大の祝日である、建国の父、金日成国家主席の生誕105年を祝う太陽節を迎えました。

 同年2月から毎月のようにミサイル実験を繰り返していた北朝鮮がこの日に合わせて、6回目の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験をするのではないかという憶測が広がる中アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権はこれをアメリカの安全保障を脅かすものだとして、それらの実験を阻止すべく、北朝鮮に対する軍事攻撃をも示唆、原子力空母カールビンソン率いる空母打撃群を朝鮮半島へ派遣を決定するなど、軍事的な圧力を強めていました。

 しかし北朝鮮は、アメリカの軍事的な圧力を意に介することなく、平壌の金
日成広場では、各種の新型ミサイルと化学部隊、特殊部隊なども参加した大規模な軍事パレードが行われました。

 世界中のメディアが、この日の軍事パレードに耳目を集める中、実は平壌ではもう一つの重要な大会が催されていました。「金日成主席生誕105周年慶祝中央報告大会」です。

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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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